大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和33(オ)587 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人遣水祐四郎の上告理由第一点について。

論旨は、農地法三条によれば、農地の所有権の移転については都道府県知事の許

可を受けなければその効力を生じないものであるところ、被上告人は本件農地の所

有権を競落により取得するにつき知事の許可を受けたことを何ら主張していないの

に、原審が被上告人の右所有権取得につき知事の許可があつた旨を認定して被上告

人の請求を認容すべきものとしたのは、当事者の申し立てない事実に基いて判決し

た違法あるものであると主張する。

なる程農地所有権の移転については都道府県知事の許可がその効力発生要件とさ

れているから農地所有権の移転を受けたと主張する者は、一般に、その移転行為の

みならず、これについて農地法所定の知事の許可があつたことについても主張立証

の責任があるものといわなければならない。

しかし、本件におけるが如く農地所有権の移転が競売申立事件における競落許可

決定によつて行われたという主張のうちには同決定につき知事の許可があつた旨の

主張を含むものと解するのを相当とする。けだし裁判所は知事の許可があつた後で

なければ競落許可決定をしないことは原判示のとおり一般に顕著な事実(昭和二五

年一二月二二日最高裁判所事務総局民事甲第二四一号通知参照)だからである。

すなわち、本件にあつては、被上告人が競落許可決定により本件農地所有権を取

得したとの主張の中にはその全趣旨から当然これにつき知事の許可があつた旨の主

張が含まれていると解するのを相当とする。

されば原判決は主張のなかつた事実に基いて判決したものということができない。

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論旨は理由がない。

同第二点について。

論旨は原判決は農地の競売につき知事の許可がなければ競落許可決定を与えない

ことは顕著な事実であると判示するが、右のような事実は顕著な事実とはいえない

から民訴二五七条の解釈を誤まつた違法があるものであると主張する。しかし、あ

る事実が顕著であるか否かは事実問題であるから所論は上告適法の理由とならない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 高 橋 潔

裁判官 石 坂 修 一

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